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                   制作:さいとうれいこ
         
第2話

                              

こーだゆー :
♪電脳ツバメは時知らず。冬もなければ夜もない。
笑いもしないし、怒りもしない。ただ情報はこぶだけ。
さみしくないの、友達もなくて♪
からすてんぐ:
おい、おーい、こーだゆー、こーだゆ〜。
こーだゆー :
だ〜れ〜?オラをよぶのは。
からすてんぐ:
こっちだ、こっち。おい、上を見ろよ。木のてっぺんだ。
何の歌を歌っているんだ?
こーだゆー :
電脳ツバメの歌だよ。
からすてんぐ:
へんな歌だな。電脳ツバメなんてどこにいるんだ?
こーだゆー :
目には見えないんだ。ふつうは『でんぱ』ってよばれてるよ。
からすてんぐ:
ふうん。まあ、そんなことはどうだっていいや。
おまえ、また寺子屋へ行くのか。寺子屋へ行くと何かもらえるのか?
あのおっしょさん、けちだろ。
こーだゆー :
けちじゃないよ。貧しいだけさ。
からすてんぐ:
俺は去年、寺にあんぽんたんがつるしてあるのを見て、もらいに行った。
次の日ももらいに行った。その次の日ももらいに行った。
だが、4日目には呉れなかった。仏の顔も3度ってのは、ほんとだな。
ケケケ・・・。ところでおまえ、何かもってないか。
ん?なんだ、これは。栗まんか。ちえっ、食いかけじゃねえか、しけてんな。
こーだゆー :
あの、ほんのちょっとだけ食べてね。
おっしょさんがインフレになるかもしれないって言うから、オラ、栗まん1日
半個にしたの。それ、明日の分だから。
からすてんぐ:
そんなこと知ったことかい。ア〜バヨ〜 (バサバサバサ)
こーだゆー :
あー、まってえ〜。
こーだゆー :
アーン、アーン。
おっしょさん:
おや、どうしたんだね、こーだゆー。何を泣いているんだ?
こーだゆー :
アーン。からす天狗に栗まんとられた〜。
おっしょさん:
しょうがないやつだな。庫裏にさつまいものしっぺたがあったはずだ。
あれを焼いてやるから、泣くのはおやめ。
 ・・・ほら、焼けたよ。栗よりうまい13里いうてな。
こーだゆー :
ありがと、おっしょさん。
こーだゆー :
あのね、おっしょさん。
世の中には強い人と弱い人がいるよね。それなのにどうして競争するの?
競争したら、弱い人が負けるに決まってるでしょ?そういう人たちを守ってくれるのが国じゃないの?どうして競争社会でなきゃいけないの?
おっしょさん:
・・・うーん、そうだな、こーだゆーの言う通りだな。
じゃがな、あと20年たつと日本は65歳以上の人が全人口の4分の1になるそうじゃ。
高齢者が増えて働く人が減るから、税金を払う人が少なくなるわなぁ。
国の力も弱くなるじゃろう?国も人も弱い者ばかりになったら、誰が守ってくれるのかのぅ。
誰かに守ってもらうことを考えるより、自分に力をつけることが大事なのでないか?
それに何が強くて何が弱いかはわからんぞ。
人間は1番弱くてちいぽけな生き物じゃったが、今は1番強い。
こーだゆー :
オラ、狸です。
おっしょさん:
そうだったな。1番強くて賢い人間を化かす狸は、もっと賢い。
こーだゆー :
うふふぅ・・・。